研究概要 |
本研究は,ヒトDNAメチルトランスフェラーゼ1(DNMT1)と結合して発がん過程におけるDNAメチル化プロファイル異常形成に寄与する分子の同定を目的としている.まず,ウェスタンブロット法を用いてヒト培養がん細胞におけるDNMT1発現を解析し,DNMT1を高発現する細胞として,ヒト肝細胞がん由来細胞(HepG2, KYN2, Alexanderなど)を複数選択した.これらの細胞の核抽出液を用いて抗DNMT1抗体による免疫沈降法を施行し,SDS-PAGEを行ったところ,DNMT1のバンドと共に,DNMT1とは異なる分子量のバンドが確認された.抗DNMT1抗体による免疫沈降物を2 Dimensional Image Converted Analysis of LCMS(2D-ICAL法)で解析し,DNMT1と共同沈降する分子の候補として,DNMT1との結合が未だ報告されていない分子を複数同定した.培養がん細胞の抽出液において,これらの分子に対する抗体を用いた免疫沈降法を行い,DNMT1との結合との確認を試みている.また,抗DNMT1抗体の抗原認識部位が目的分子との結合によって塞がれている場合,免疫沈降法で有効な共同沈降物が得られない可能性があるため,抗原認識部位の異なる新規抗DNMT1抗体の作製を準備している.
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