研究課題
若手研究(B)
ステロイド誘発性骨粗鬆症の病因を解明するために、生理的、病理的条件下それぞれにおけるグルココルチコイドの骨細胞及び骨芽細胞に対する作用とそのメカニズムを分子遺伝学の手法を用いて解析した。グルココルチコイド受容体(GR)-floxマウスと、DMP1-CreマウスあるいはOsterix-Creマウスをそれぞれ交配させ、骨細胞においてのみGRを無くしたマウス、骨芽細胞系列(骨細胞及び骨芽細胞)でGRを無くしたマウスを作出した。内在性のグルココルチコイドの作用を検討するためにベースラインでの解析を行ったところ、骨芽細胞系列のGRノックアウトマウスは対照群マウスと比べ低骨量を示した。一方、骨細胞特異的GRノックアウトマウスでは、8週齢では骨量に差は認められなかったものの12週齢と6ヶ月齢では低骨量を示した。また、このノックアウトマウスでは、骨芽細胞数には変化が見られないものの骨形成速度や骨石灰化速度の低下が見られた。次に薬理量のグルココルチコイドの作用を検討するために、これらのノックアウトマウスに合成グルココルチコイドを徐放するペレットにより1ヶ月間継続投与し解析を行った。その結果、骨細胞特異的GRノックアウトマウスでは、海綿骨の骨量は対照群マウスと同様にグルココルチコイド投与により有意な減少を示したものの、皮質骨はグルココルチコイドに対し抵抗性を示した。以上の結果から、内在性のグルココルチコイドは骨芽細胞系列のを介して骨量を正に調節すること、薬理量のグルココルチコイドの皮質骨に対する作用では、骨細胞のを介する作用が寄与することが示唆された。
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