1.Mouse anti-mouse MPO抗体(mαMPO)の作製 G-CSFで多核白血球に分化誘導したマウス骨髄細胞32Dcl3からmouse MPOを精製することに成功した。これを免疫用抗原として、いくつかの免疫プロトコールを検討した結果、25μg/回でMPO欠損マウスに4回免疫を行った後、回収した血清からProtein G Sepharoseを用いてポリクローナルmαMPOを精製することに成功した。また、同マウスから回収した脾臓細胞を用いてハイブリドーマの作製も行い、1クローンのモノクローナル抗体を得ることにも成功した。 2.mαMPOの腎炎誘導活性評価 1で得られたmαMPOをC57BL/6マウスに尾静脈投与し、血尿・蛋白尿などのモニタリングを行ったが、糸球体腎炎発症が見られなかった。そこで、lipopolysaccharide(LPS)の腹腔内投与を併用したところ、投与後2日後をピークとする急性の血尿・蛋白尿が観察された。これらのマウスを屠殺し、腎臓・肺の組織像を観察したところ、半月体性糸球体腎炎や肺胞出血を伴う炎症像が観察された。また、腎臓・肺組織中には多数の白血球浸潤が見られたことから、現在これらの白血球について、その分類や機能について解析中である。また、1で得られたモノクローナル抗体についても、その腎炎誘導性について検討を行ったが、腎炎誘導活性は現在のところ確認できていない。 3.多光子励起顕微鏡を用いたマウス腎糸球体観察法の確立 1で得られたmαMPOを量子ドット(Qdot抗体標識キット、Invitrogen)で標識したものを調製した。現在、これを用いてmαMPO投与後の生体内分布について検討を行っている。
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