研究概要 |
1.ケモカインによるCCR7^+腫瘍浸潤樹状細胞(TIDCs)の腫瘍浸潤制御を明らかにするため、野生型またはケモカイン受容体欠損マウス(Ccr1^<-/->,Ccr2^<-/->,Ccr4^<-/->,Ccr5^<-/->,Lyx2^<cre/+>x Cxcr4^<flox/folx>,Cxcr3^<-/->,Cxcr5^<-/->,Cxcr6^<gfp/gfp>,Cx_3cr1^<gfp/gfp>に3LLを皮下接種し、TIDCの腫瘍浸潤をフローサイトメトリーで解析したが、いずれのケモカイン受容体欠損マウスにおいても野生型と比較し、有意な変化を認めなかった。次にCD45.1^+野生型マウスおよびCD45.2^+各種ケモカイン受容体欠損マウス由来骨髄細胞を1:1で混合した骨髄細胞で再構築した混合骨髄キメラマウスに3LLを皮下接種し、競合的環境下において各ケモカイン受容体欠損マウス由来細胞の生体内分布を解析したところ、TIDCおよびDLN画分においてCcr2^<-/->マウス由来細胞の有意な減少を認めた。これらの結果から、TIDCの腫瘍浸潤が部分的にCCR2に依存することが明らかになった。 2.抗がん剤治療時のTIDCsの動態を明らかにするため、担癌マウスにOxaliplatinを投与した際の各樹状細胞サブセットおよび樹状細胞前駆細胞の数的変動をフローサイトメトリーで解析したところ、単球やリンパ節常在型樹状細胞(rDC)が著減する高用量投与群においてもTIDCおよびDLN mDCは一定数維持されていた。これらの結果から、近年注目されている抗がん剤治療と免疫療法の相乗的効果はrDCではなく、mDCならびにその前駆細胞であるTIDCに依存することが示唆された。 本研究成果は、抗がん剤治療とCCR2などのTIDC動態制御因子を標的としたTIDCの数的制御による免疫賦活化を組み合わせた、新たながん治療戦略に繋がるものと期待している。
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