WEHI3B細胞再拒絶にLTB4/BLT1経路を介した直接的な抗腫瘍効果の可能性を除外するためにWEHT3B細胞のBLT1の発現をRT-PCR法により解析した結果、BLT-1の発現は認められたかった。この事から、BLT1 KOマウスにおけるWEHI3B細胞の再拒絶には腫瘍に対する免疫応答が関与する事が示唆された。 BLT1 KOマウスにおける腫瘍再拒絶現象に、どの免疫細胞が直接関与しているか同定するために、これまでに種々の中和抗体(CD4、CD8およびNK)を用いて細胞除表実験を行った。その結果WT/GM-PBS投与群との比較においてKO/WGM-CD4+T細胞除去群で有意な腫瘍形成の増強が観察された。また腫瘍接種から46日目にWT/WGM群およびKO/WGM群より所属リンパ節を採取し、メモリーT細胞の状態をフローサイトメトリーにより解析し、比較検討した。WT/WGM群よりもKO/WGM群の方がCD4+エフェクターメモリーT細胞の割合が有意に高かった。このことからKOマウスにおける腫瘍形成再拒絶にCD4+メモリーT細胞を中心とした免疫系が重要である事が示唆された。 また腫瘍形成試験中に各マウスの脾臓を採取しin vitroでWEHI3B細胞と共培養後、上清中の炎症性サイトカインを測定した。WT/WGM群と比較してKO/WGM群の方がTNF-α、IFN-γおよびIL-4の産生量が高かった。このことからWT/WGMよりもKO/WGM群のマウスにおいて自然名疫系、Th1系およびTh2系を活性化していることが示唆された。 今後の臨床展開を視野に入れ、現在LTB4アンタゴニストを野生型マウスに投与し、KOマウスで観察きれた腫瘍形成の再拒絶がアンタゴニスト投与野生型マウスで再現されるか検証中である。
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