腎細胞癌CCCで異常発現するmiRNAの機能解析を行い、癌の発生・進行に関与するmiRNAを同定することを目的とする。 1. 腎細胞癌CCCにおいて発現低下していたmiRNAの機能解析 CCCにおけるmiRNA発現プロファイルにおいて、著しく発現低下していた2種類のmiRNA(miR-A、miR-Bとする)の機能解析を行った。それぞれのmiRNAについてmiRNA precursor(オリゴ)を腎癌細胞株7860と不死化細胞株HEK293に導入し、miRNAを過剰発現させた。細胞の増殖能について、MTS assayによって検討したところ、細胞増殖が著しく低下していた。このことは細胞数カウントによっても確認されたことから、これらのmiRNAの発現低下が癌細胞の増殖に影響を与えていることが示唆された。今後はアポトーシスとの関連を調べる。また、miR-Aを導入した細胞では著しく形態が変化し、細胞運動に変化が起きていると考えられたので、浸潤能について調べる。 2. 腎細胞癌CCCにおいて発現上昇していたmiRNAの機能解析 CCCにおいて発現上昇していたmiRNA(miR-Cとする)が細胞増殖に関与しているかをMTS assayによって調べた。Caki2細胞にAnti-miRNA(オリゴ)を導入し、miR-Cの発現を抑制したが、細胞増殖は低下しなかったことから、miR-Cは細胞増殖の促進には関与していないと考えられた。今後は、浸潤能、アポトーシス耐性能などを亢進している可能性を調べる。 3. レンチウイルスベクターによるmiRNA過剰発現システムの構築と細胞株の樹立 前述の2個のmiRNAについて前駆体領域のゲノムをクローニングし、レンチウイルスベクターに組み込んだ。今後、これをヌードマウス可移植性の腎癌細胞株に導入し、安定発現株を得て、生体での腫瘍形成能について調べる予定である。
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