研究概要 |
2009年度の研究成果 前立腺癌原発巣・骨転移巣における癌幹細胞マーカー発現検索 ホルマリン固定ヒト前立腺癌原発巣9例・骨転移巣4例に対し、前立腺癌幹細胞マーカーの1つである抗CD44抗体(DAKO, DF1485)の免疫染色を行った。原発巣では9例中8例の癌細胞に陽性像が確認され、陽性細胞率は0%~35.2%であった。一方骨転移巣は、CD44の内在性control(リンパ球)陽性で評価可能な標本は1例のみであったが、骨転移巣の癌細胞は強い陽性像が見られ、陽性細胞率は100%であった。次に凍結ヒト前立腺癌原発巣4例に対し、前立腺癌幹細胞マーカーの1つである抗CD133抗体(Miltenyi Biotec, AC133)の免疫染色を行った。前立腺癌細胞に明らかな陽性像は見られなかったが、一部の正常前立腺基底細胞に陽性像が観察された。 前立腺癌細胞株を用いた癌幹細胞マーカーの発現検索 ヒト前立腺癌細胞株であるLNCaP, PC3, DU145に対して、抗CD44抗体の免疫染色を行った。骨転移巣由来細胞株であるPC3、脳転移巣細胞株であるDU145は陽性像が確認され、PC3は48.8%、DU145は15.2%の陽性細胞率であった。一方リンパ節転移巣由来細胞株であるLNCaPは陰性であった。 限界希釈法を用いた前立腺癌細胞株からの癌幹細胞候補の同定 限界希釈法により癌細胞株から癌幹細胞の性質を有する亜株が得られるという報告がある事から、ヒト・ラット前立腺癌細胞株に対し限界希釈法を行い亜株を樹立した。亜株には高い細胞増殖能が見られた。次に癌幹細胞が有する薬剤耐性能、幹細胞関連遺伝子の発現上昇を検索した。抗癌剤Etoposideに対する薬剤耐性、幹細胞関連遺伝子であるSox2の発現をqRT-PCRで検討したが、薬剤耐性能、遺伝子発現は親株と比較して有意な高値は見られなかった。
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