研究課題
申請者は微生物成分アジュバント製剤で憂慮すべき純度・安定供給などの問題を解決するため、化学合成可能なアジュバントの開発に取り組んできた。本申請ではマイコプラズマ由来リポペプチド・MALP-2の改良によって、追加機能を持つ人工TLR2リガンドの開発とアジュバント応用を進めている(アジュバント・エンジニアリング戦略)。平成21年度において、集合体形成能を付加したリポペプチド(化合物C : P2C-S******)は、これまでの化合物とは異なる性質を有することが明らかとなった。既知の人工リポペプチド・P2C-SKKKKは天然のMALP-2よりもIFNγを強力に誘導するが、申請者の独自設計化合物においても同様の性質のものは得られている。しかしながら、化合物Cは、マウス脾臓細胞からのIFNγ誘導能は低いものの、唯一、骨髄由来樹状細胞からのIL12p40産生を強力に誘導した。今回、IFNγとIL12p40の両者の誘導活性を有する化合物設計を目的として、これらの2化合物の配列をタンデム結合させた新たなリポペプチド(P2C-S******KKKKおよびP2C-SKKKK******)を作製した。しかし、これらの化合物はそれぞれP2C直後に連結させた配列の化合物と同様同程度の活性でしかなく、目的の複合活性は得られなかった。そこで、さらなる人工設計により、ペプチドを延長したP2C-S***********を作製したところ、IFNγとIL12P40の両者の誘導活性が認められた。現在、in vitroのさらに詳細なメカニズム解析を進めている。一方、これらの化合物について、in vivoマウスがん治療モデルでの評価を進めたが、期待したほどの治療効果の増強は認められておらず、治療プロトコール等、さらに検討が必要と考えている。
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