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マラリア原虫と宿主の寄生関係は、共進化という概念で説明される。原虫と宿主との密接な関係から、宿主との共進化が進むにつれて原虫の宿主域が狭くなる(宿主特異性が高くなる)とみなされ、「ヒトマラリア原虫はヒトにのみ感染する」、「ヒト以外の動物を宿主とするマラリア原虫はヒトに感染しない」との見解が広く受け入れられている。しかし最近研究代表者らは、従来の見解とは異なり、マラリア原虫の宿主域について"限定されず広い(宿主特異性が低い)"と推測する"マラリアビッグバン仮説"を提唱した。また研究代表者らは日本に輸入されたチンパンジーから、ヒトマラリア原虫の一種である四日熱マラリア原虫を検出し、四日熱マラリア原虫の宿主域がヒトに限定されていないことを示した。この知見は、"マラリアビッグバン仮説"を支持するものである。"マラリアビッグバン仮説"はミトコンドリアゲノムを用いた解析により導かれたものであるが、核にコードされる遺伝子(エネルギー代謝に関わる遺伝子)の解析からも"マラリアビッグバン仮説"は支持されることがわかった。
これらの成果は、従来のマラリア研究・対策での宿主域に関する基本見解の見直しをせまり、今後のマラリア研究・対策の新たな基盤知見になると考えられる。
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