研究課題
強毒株Plasmodium berghei(Pb)ANKAが引き起こす脳症は、弱毒株PbXATを複合感染させることで抑制できる。これまでの研究成果から、弱毒株PbXAT複合感染による脳症抑制効果には、弱毒株PbXATに特異的に応答する自然免疫が関与していると推察される。Toll-like receptor(TLR)は樹状細胞やマクロファージなどの貧食細胞の病原体認識受容体の一つで、自然免疫応答に重要な役割を果たしている。本研究では弱毒株PbXATの複合感染による脳症抑制効果とTLRの関係を明らかにするために、TLR2/4/9KOマウスおよびTLR7/9KOマウスを用いて弱毒株PbXATの複合感染による脳症抑制効果を解析した。本研究では、まず、強毒株Pb ANKAおよび弱毒株PbXATの単独感染におけるTLRの役割について解析を行った。その結果、強毒株Pb ANKAが引き起こす脳症は、TLR非依存的であった。一方、弱毒株PbXATをTLR2/4/9KOマウスおよびTLIR7/9KOマウスに感染させると、野生型マウスと比較して原虫血症は増悪した。この結果から、弱毒株PbXATはTLRに認識されることが見出され、さらに弱毒株PbXATに対する防御免疫の誘導にTLRが重要な役割を果たすことが明らかとなった。次に、弱毒株PbXAT複合感染による脳症抑制効果にはTLRを介する免疫応答が関与していると推測し、TLR2/4/9KOマウスおよびTLR7/9KOマウスに強毒株PbANKAと弱毒株PbXATを複合感染させた。しかし、複合感染させたTLR2/4/9KOマウスおよびTLR7/9KOマウスは、野生型マウスと同様に脳症抑制効果が認められたことから、弱毒株PbXAT複合感染による脳症抑制効果にTLRは関与しないことが推察された。
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Journal of Biomedicine and Biotechnology
巻: 2011 ページ: Article ID 383962
10.1155/2011/383962
http://www.kyorin-u.ac.jp/univ/user/medicine/did/parasit/p_index.html