研究課題
マラリア原虫の赤血球細胞質のエンドサイトーシスには低分子量GTPaseのPfRab5aが関与することが報告されていた。本研究で、PfRab5には3つのアイソタイプが存在し、その中のPfRab5bと名付けたアイソタイプは膜への結合がN末端のミリストイル化に依存することが分かった。熱帯熱マラリアだけでなく、ミリストイル化されるRab5bを持つ原虫は、全てのマラリア原虫種とトキソプラズマに保存していた。PfRab5bの細胞内局在や機能を解析するために大腸菌内でリコンビナントタンパク質を発現精製し、抗体を作成することを試みた。これまで、GSTやHis融合蛋白質等、複数の発現条件を検討した結果、pCold1ベクターによる低温条件でのタンパクの発現誘導、かつ大腸菌内でのシャペロンとの共発現(groES,groEL)によって、可溶性画分に組換え蛋白質を発現させることに成功した。しかし、可溶性画分に分画されるタンパク質量が十分ではなく、抗体を作製するのには不十分であった。最終的に、コドンを大腸菌K12株に最適した人口遺伝子PfRab5bを合成し、シャペロン能を持つpColdTFベクターで発現を試みた。人工合成遺伝子とゲノム配列のヌクレオチドレベルでの相同性は75%であった。大腸菌をmid-logまで培養した後、22℃で0.1mMのIPTGで18時間発現誘導をかけた。約半分の発現したタンパク質が可溶性に文画され、400mlの大腸菌培養液から抗体作成に十分な1.7mgのリコンビナントタンパク質を得た。この人工合成遺伝子で得られたリコンビナントタンパク質は抗体を作成するのに使用されるとともに、in vitroでPfRab5bとの結合タンパク質の探索にも使用可能である。
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The Journal of Eukaryotic Microbiology
巻: 57 ページ: 389-399