ヘリコバクター・ピロリ菌CagAによる胃上皮細胞の極性破壊と細胞増殖の共役機構

2010 年度 研究成果報告書

• 研究課題/領域番号: 21790412
• 研究種目: 若手研究(B)
• 配分区分: 補助金
• 研究分野: 細菌学(含真菌学)
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 紙谷 尚子 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (40279352)
• 研究期間 (年度): 2009 – 2010
• キーワード: ヘリコバクター・ピロリ / 胃がん / cagA遺伝子 / 上皮細胞極性 / 細胞増殖

研究概要

cagA遺伝子を保有するヘリコバクター・ピロリ感染は胃がん発症の危険率を有意に高める。本研究の目的は、CagAによる胃上皮細胞の極性破壊と細胞増殖をつなぐ分子機構を解明することである。CagAはSHP2活性化を介してErk-MAPK経路を異常活性化すると同時に、PAR1抑制を介して上皮細胞極性を破壊する。CagA依存的な上皮極性破壊がRhoAを活性化し、p21の発現を抑制する結果、細胞増殖を亢進させることを明らかにした。

研究成果

• [雑誌論文] Pathophysiological functions of the CagA oncoprotein during infection by Helicobacter pylori. (2011)
  • 著者名/発表者名: N. Murata-Kamimya.
  • 雑誌名: Microbes Infect. 印刷中(掲載確定)
  • 査読あり
• [雑誌論文] Conversion of Helicobacter pylori CagA from senescence inducer to oncogenic driver through polarity-dependent regulation of p21. (2010)
  • 著者名/発表者名: Y. Saito, N. Murata-Kamiya, Y. Ohba, T. Hirayama, M. Hatakeyama.
  • 雑誌名: J.Exp.Med. 207 ページ: 2157-2174
  • 査読あり
• [雑誌論文] 胃癌発症におけるピロリ菌癌タンパク質CagAの役割 (2010)
  • 著者名/発表者名: 紙谷尚子、畠山昌則
  • 雑誌名: 細胞工学 29巻6号 ページ: 554-560
• [雑誌論文] Helicobacter pylori exploits host membrane phosphatidylserine for delivery, localization, and pathophysiological action of the CagA oncoprotein. (2010)
  • 著者名/発表者名: N. Murata-Kamiya, K. Kikuchi, T. Hayashi, H. Higashi, M. Hatakeyama.
  • 雑誌名: Cell Host Microbe 7 ページ: 399-411
  • 査読あり
• [雑誌論文] Role of PAR1/MARK kinases in the morphogenetic activity of Helicobacter pylori CagA. (2009)
  • 著者名/発表者名: H. Lu, N. Murata-Kamiya, Y. Saito, M. Hatakeyama.
  • 雑誌名: J.Biol.Chem. 284 ページ: 23024-23036
  • 査読あり
• [雑誌論文] Helicobacter pylori CagA causes mitotic impairment and induces chromosomal instability. (2009)
  • 著者名/発表者名: M. Umeda, N. Murata-Kamiya, Y. Saito, Y. Ohba, M. Takahashi, M. Hatakeyama.
  • 雑誌名: J.Bio.Chem. 284 ページ: 22166-22172
  • 査読あり
• [学会発表] Helicobacter pyloriがんタンパク質CagAと宿主細胞膜ホスファチジルセリンの相互作用 (2010)
  • 著者名/発表者名: 紙谷尚子、菊地健司、林剛瑠、東秀明、畠山昌則
  • 学会等名: 第33回日本分子生物学会年会・第83回日本生化学会大会合同大会
  • 発表場所: 神戸ポートピアホテル(兵庫県)
  • 年月日: 2010-12-10
• [学会発表] ヘリコバクター・ピロリは細胞膜ホスファチジルセリンを利用して宿主細胞にCagA癌タンパク質を注入する (2010)
  • 著者名/発表者名: 紙谷尚子、菊地健司、林剛瑠、東秀明、畠山昌則
  • 学会等名: 第69回日本癌学会学術総会
  • 発表場所: 大阪国際会議場(大阪府)
  • 年月日: 2010-09-22
• [学会発表] PHelicobacter pylori CagAによる上皮細胞極性依存的な細胞増殖の亢進 (2010)
  • 著者名/発表者名: 齊藤康弘、紙谷尚子、畠山昌則
  • 学会等名: 第69回日本癌学会学術総会
  • 発表場所: 大阪国際会議場(大阪府)
  • 年月日: 2010-09-22
• [学会発表] SHP-2もしくはPAR1と結合できないCagAを発現する遺伝子組み換えヘリコバクターピロリ菌の病態生理学的な検討 (2010)
  • 著者名/発表者名: 菊地健司、紙谷尚子、近藤哲、畠山昌則
  • 学会等名: 第69回日本癌学会学術総会
  • 発表場所: 大阪国際会議場(大阪府)
  • 年月日: 2010-09-22
• [学会発表] GEF-H1は細胞極性制御因子PAR1b/MARK2の下流分子として機能する (2010)
  • 著者名/発表者名: 山橋幸恵、齊藤康弘、紙谷尚子、畠山昌則
  • 学会等名: 第69回日本癌学会学術総会
  • 発表場所: 大阪国際会議場(大阪府)
  • 年月日: 2010-09-22
• [学会発表] 胃がん発症におけるヘリコバクター・ピロリCagAの意義 (2009)
  • 著者名/発表者名: 紙谷尚子、畠山昌則
  • 学会等名: 第68回日本癌学会学術総会
  • 発表場所: パシフィコ横浜(神奈川県)
  • 年月日: 2009-10-02
• [学会発表] Helicobacter pylori CagAは上皮細胞極性を利用し異常細胞増殖を誘導する (2009)
  • 著者名/発表者名: 齊藤康弘、紙谷尚子、大場雄介、畠山昌則
  • 学会等名: 第68回日本癌学会学術総会
  • 発表場所: パシフィコ横浜(神奈川県)
  • 年月日: 2009-10-01
• [学会発表] Epstein-Barrウィルスによる上皮細胞の発癌の初期変化 (2009)
  • 著者名/発表者名: 吉山裕規、紙谷尚子、高田賢蔵、畠山昌則
  • 学会等名: 第68回日本癌学会学術総会
  • 発表場所: パシフィコ横浜(神奈川県)
  • 年月日: 2009-10-01