(1) 結核菌弱毒株であるMycobacterium tuberculosis H37Ra株と結核ワクチン株であるM. bovis BCG株感染マクロファージにおけるRab GTPaseの局在を調べた。ファゴソーム熟成に関与するRab7、Rab20、Rab32、Rab34、Rab38、Rab39はH37Ra株、BCG株ファゴソームに局在することが明らかになった。また、蛍光デキストランでリソソームを標識したマクロファージにこれらの株を感染させた。強毒株であるM. tuberculosis H37Rv株ファゴソームにはリソソームはまったく融合しないが、弱毒株ファゴソームにはリソソームが部分的に融合することが明らかになった。以上の結果はファゴソーム熟成に関与するRab GTPaseの局在とファゴリソソーム形成過程と関連することを示す。 (2) 恒常的活性化型(CA)Rab GTPseの結核菌ファゴソームにおける局在を調べた。GFP融合CA-Rab GTPaseを発現するマクロファージにM. tuberculosis H37Rvを感染させた。CA-Rab GTPaseは通常型と同様に結核菌ファゴソームからかい離することが明らかになった。このことは結核菌ファゴソームからRab GTPaseのかい離様式はGTPase活性に依存しないことを示す。Rab GTPaseかい離候補遺伝子としてRv3377c遺伝子を見出した。Rv3377c遺伝子産物はゲラニルゲラニル基を環状構造に触媒する活性を持つことが知られている。Rv3377cは結核菌弱毒株であるH37Ra株やBCG株では発現しないことを明らかにした。
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