Rab GTPaseかい離候補遺伝子としてRv3377c遺伝子を見出した。Rv3377c遺伝子産物はゲラニルゲラニル基を環状構造に触媒する活性を持つことが知られている。Rv3377cは結核菌弱毒株であるH37Ra株やBCG株では感染マクロファージ内で発現しないことを明らかにした。次に、結核菌のファゴソーム内での増殖を支持する宿主因子を探索するため、結核菌ファゴソームのプロテオミクス解析を行った。生化学的に単離した結核菌ファゴソームのプロテオミクス解析によって、結核菌ファゴソームに含まれるタンパク質を網羅的に同定した。結核菌ファゴソーム画分には後期エンドソームマーカータンパク質であるRab7やv-ATPaseのサブユニットタンパク質、リソソームマーカータンパク質であるLAMP-1やLAMP-2などが含まれていた。また、ミトコンドリア特異的シャペロンのCH60も含まれていた。さらに、小胞体タンパク質であるGrp78、PDI、リボソームサブユニットタンパク質も同定した。このことは、結核菌ファゴソームは後期エンドソームやリソソームと融合することができること、しかし、小胞体由来小胞との融合が優先されるために結核菌ファゴソームのファゴソーム熟成が阻害されることを示唆する。
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