研究課題
ウサギ腸管ループ試験(腸炎ビブリオの下痢原性を評価するin vivoのアッセイ系)を用いて本菌の病原因子と考えられているTDHおよび2つのTTSS(TTSS1、TTSS2)の本菌感染によって誘導される下痢原性おける役割について検討したところ、TDHやTTSS1遺伝子欠損株では腸管毒性の低下は認められないが、TTSS2遺伝子欠損株において劇的な低下が認められたこと、さらに精製TDHによって誘導される腸管毒性は抗TDH血清によって完全に中和されるが、野生株の腸炎ビブリオ感染によって誘導される腸管毒性は抗TDH血清によって全く影響を受けないことを見出した(Infect Immun2010)。さらに、TTSS2依存的新規分泌タンパク質として機能未知のORFであるVopEを同定した。VopEはTTSS2依存的に分泌されるだけではなく宿主細胞に注入されること、vopE遺伝子欠損株はTTSS2のエフェクター分泌能だけではなくエフェクターの宿主細胞注入能に影響を及ぼさないが、この遺伝子欠損株のTTSS2依存的な腸管毒性が有意に減少することを見出した。近年、non-01,non-0139コレラ菌が腸炎ビブリオのTTSS2と類似のTTSS遺伝子群を保有していることが報告されたことから、遺伝子レパートリーを比較したところ、non-01,non-0139コレラ菌も腸炎ビブリオのvopEと類似の遺伝子を保有していることが明らかとなった。そこで、non-01,non-0139コレラ菌のvopE遺伝子欠損株を作製し、腸管毒性活性を測定したところ、腸管毒性活性が有意に低下し、低下した腸管毒性活性は腸炎ビブリオのvopE遺伝子相補により完全に回復した。このことから、vopEは腸炎ビブリオだけではなくnon-01,non-0139コレラ菌の下痢原性にも寄与している可能性が考えられた。現在、VopEがどのように腸管毒性活性を発揮するかについて解析を進めている。
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