1.カンジダ感染防御機構異常の検討について これまでのCandida albicansの感染実験で、BALB/cマウスでは3.0×10^5CFUのC.albicansを尾静脈接種すると、Aire KOおよび各種免疫不全マウス(μMT、Rag-1、nu/nu)で感受性に差が認められた。そこでこの感受性の差が何に基づくものか解明するため、各種サイトカインの変動に着目し実験を行った。Th1、Th2、Th17応答の代表的なサイトカインとしてC.albicans感染マウス血清中のIFN-γ、IL-4、IL-6、IL-17Aの変動を測定した。その結果、Aire WTマウスではIFN-γ、IL-4、IL-17Aは変動ぜず、IL-6のみ上昇することが確認できた。今回の研究により、C.albicansの感染モデルマウスとしてのAire KOマウスは、30×10^5CFUのC.albicans接種で感受性の亢進が認められ、血清中のサイトカインはIFN-γ、IL-4、IL-17Aが測定限界近辺のため変動が認めらなかったものの、IL-6の上昇を確認できた。IL-6は自然免疫における貪食細胞の動員や炎症の誘導、また、Th17細胞の分化に必須で、全身の様々な細胞から産生されるサイトカインであるため、C.albicans感染により血清での濃度の上昇が認められたと考えられる。 2.Aireの機能解析のために、AIREタンパクが相互作用するタンパクもしくは転写因子としての標的遺伝子を探索、同定についてAIRE transfected OTC-4細胞を用いてSDS-PAGEを行い、ヒト抗AIREペプチド抗体でウエスタンブロッティングの条件を設定した。その後、AIRE transfected OTC-4細胞とヒト抗AIREペプチド抗体で免疫沈降を実施したところ、相互作用するタンパク質のバンドを検出することができた。今後の展望としては、相互作用するタンパク質の同定を行うことで、Aireの機能解析を詳細に行うことが可能である。
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