平成23年度研究実施計画 1.平成22年度に引き続き協力病院で採取した胃生検体からDNAを調製し、特異プラーマーを用いたPCR法にてH.pylori菌とH.heilmanniiを識別する。H.heilmannii感染の場合は、更に菌種同定のための特異プライマーと16S rRNA及びウレアーゼ遺伝子の配列を決定し、H.heilmanniiとH.suisを同定する。平成19年度からの6年間の結果を論文にまとめる。結果:平成23年度は、胃MALTリンパ腫患者2名からH.suis感染が見つかった。いずれも迅速ウレアーゼ試験において陰性の患者であった。これまで16S rRNA遺伝子とウレアーゼ遺伝子の配列のみで、HHLO感染の判定をおこなっていたが、当該研究グループによりH.heilmanniiの全ゲノム解析が進み、H.heilmannii特異的遺伝子が見つかっている。今後はこの遺伝子の有無による判定に切り替える予定である。従って、平成19年度からの6年間の結果を、再度新たな遺伝子判定で検証した後、論文にまとめる予定である。 2.MALTリンパ腫の発症に関わる宿主因子を明らかにするため、H.heilmannii感染マウスの胃粘膜よりmRNAを調製し、遺伝子の発現レベルを解析する。結果:リアルタイムRT-PCR法によりH.heilmannii感染マウスの胃粘膜においてB細胞活性化に関わる遺伝子の発現誘導が確認された。 3.追加計画と結果:H.heilmannii感染マウスにおけるプロバイオティクスの効果を検証したが、H.pylori感染が乳酸菌の摂取により防御できるのに対し、H.heilmanniiは感染力が強力で、乳酸菌の効果が低かった。
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