研究概要 |
私は、Enterovirus71(EV71)感受性であるヒトRD細胞のゲノムDNAを低感受性であるマウスL929細胞に導入しEV71感受性を得たマウス細胞を2株(Ltr051細胞とLtr246細胞)樹立した。Ltr051細胞のEV71感受性は、EV71の感染受容体SCARB2によってもたらされていた。本研究課題では、Ltr246細胞に存在する第2の感染受容体を同定することを目的とする。 Ltr246細胞に発現しているメッセンジャーRNAを網羅的かつ直接的に解析するために、次世代シークエンサーGenome Analyzer GAIIx(イルミナ社)を用いてcDNAのシークエンスを行った。2レーンの解析により、55,387,868リード(1リード:78塩基の配列)を得ることに成功した。これらの配列をblastnプログラムを使用して、NCBI Reference Sequenceのdata baseに対してサーチし、ヒト由来のmRNAかマウス由来のmRNAかを判定した。ヒト由来のmRNAと判定された配列を遺伝子ごとに分類し、どの遺伝子由来の配列が多く検出されたかをランク付けした。また、検出された配列がmRNA全長をどの程度カバーしているかを解析し、Ltr246細胞に存在するヒト遺伝子を絞り込んだ。 上位にリストされた遺伝子には、既にLtr246細胞に導入されていることが確認されているCCL2およびMEPCP(これらの遺伝子はEV71感受性とは無関係であった)が含まれていたことから、解析方法の正当性や妥当性は示された。そこで上位の遺伝子から膜蛋白質を選び、それらの遺伝子がLtr246細胞にあるかをゲノムPCRで確認したが全て陰性であった。
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