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2010 年度 実績報告書

重症急性呼吸器症候群の重症化機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21790455
研究機関財団法人東京都医学研究機構

研究代表者

安井 文彦  (財)東京都医学総合研究所, 東京都臨床医学総合研究所, 主任研究員 (40399473)

キーワード個体 / 免疫応答 / 肺炎
研究概要

本研究では、SARS-CoV感染により肺炎を発症する老齢BALB/cマウスを用いて、ウイルス感染後に誘導される宿主免疫応答が肺炎発症に与える影響を解析し、SARS-CoV感染に対する免疫応答を介した肺炎の重症化機序の解明することを目的とした。これまでの研究結果から、免疫不全マウスであるSCIDマウスでは顕著な肺炎を呈することなく、SARSコロナウイルスが持続感染化を見出しており、SARSの肺炎の重症化には獲得免疫の関与が強く示唆された。
そこで、獲得免疫に着目し、細胞性免疫と液性免疫のウイルス排除への関与と肺炎発症への影響を解析した。ウイルス排除には、細胞障害性T細胞(CTL)が重要であると考えられている。特異的抗体を用いてCD4陽性細胞及びCD8陽性細胞の枯渇実験を行い、ウイルス排除への影響を解析した。興味深いことに、CD8陽性細胞枯渇群では、野生マウスと同様に感染9日後までに肺中ウイルス量は検出限界以下にまで低下していた。一方、CD4陽性細胞枯渇群では、ウイルス排除に失敗した。さらに、CD4陽性細胞をSCIDマウスに移入した場合には、SARS-CoVを排除できないが、T細胞欠損しているnudeマウスへのCD4陽性細胞移入した場合には、SARS-CoVが排除された。以上の結果より、SARS-CoV感染に対しては、何らかの原因によりCTLがうまく誘導されず、液性免疫がウイルス排除により高い寄与を果たしていることが明らかとなった。しかし、CD4陽性細胞枯渇老齢BALB/cマウス及びCD8陽性細胞枯渇老齢BALB/cマウスともに肺炎像は軽減されていないことから、肺炎発症には他の免疫担当細胞群が関与していることが示唆された。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2010

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Identification of SARS-CoV spike protein-derived and HLA-A2-restricted human CTL epitope by using a new muramyl dipeptide-derivative adjuvant.2010

    • 著者名/発表者名
      Chen Y-Z, et al.
    • 雑誌名

      International Journal of Immunopathology and Pharmacology

      巻: 23 ページ: 165-177

    • 査読あり
  • [学会発表] Prior immunization with SARS-CoV nucleocapsid protein causes severe pneumonia in mice infected with SARS-CoV2010

    • 著者名/発表者名
      Fumihiko Yasui
    • 学会等名
      Keystone symposia (Immunological mechanism of vaccination)
    • 発表場所
      アメリカ・シアトル(Sheraton Seattle Hotel)
    • 年月日
      2010-10-30

URL: 

公開日: 2012-07-19  

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