Cre-loxPシステムに準じたfloxed-Map3k3マウスと、腸管上皮細胞特異的にCreタンパクを発現するマウス(Villinl-Cre)を掛け合わせ、腸管上皮細胞特異的MEKK3欠損(Mekk3^<IEC-KO>)マウスを作製した。Mekk3^<IEC-KO>マウスから小腸、および大腸上皮細胞を調整し、サザン、ウェスタンブロッティングを行い、両細胞でのMEKK3の欠損を確認した。腸管上皮細胞特異的TAK1欠損マウスと同様に腸炎を自然発症するとした当初の予想とは異なり、Mekk3^<IEC-KO>マウスはメンデルの法則に従って正常に生まれ、少なくとも生後1年間は腸炎を自然発症することは無かった。Mekk3^<IEC-KO>マウスから調整した小腸・大腸組織切片を病理学的に判定したが、同腹仔のコントロールマウスとの差異は認められなかった。この結果は、マウス胎児繊維芽細胞とは異なり、MEKK3が腸管上皮細胞においてはTNFが惹起するNF-κBの活性に必須ではないことを示唆している。現在、このことを確認するために、野生型とMekk3^<IEC-KO>マウスにTNFを静脈投与し、腸管上皮細胞におけるアポトーシス亢進やNF-κBの活性化に至ると考えられているシグナル伝達分子の活性化を比較検討している。
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