本研究ではプレB細胞上に一過性に発現する恒常的活性化受容体であるpre-BCRの発現抑制メカニズムを解明することで、新たなプレB細胞タイプの急性リンパ白血病(ALL)治療法開発の分子基盤をを構築することを目的としている。 前年度の研究成果から、pre-BCRダウンレギュレーションに関与する機能未知の分子はリソソームに局在し、pre-BCRをリソソームで分解していることが示唆された。本年度の研究では、この機能未知のある分子の欠損マウスが作製されていたので入手し、このマウスのプレB細胞におけるpre-BCRの発現を調べたところ、野生型マウスに比べて欠損マウスではpre-BCRの発現が増加していることがわかった。また、このpre-BCRの発現増加はプレB細胞自身の分子欠如に起因することがわかった。さらに野生型マウスにおいて、pre-BCRシグナルによってこの分子の発現が増加することがわかった。 このことからこの分子は、細胞表面へのpre-BCR発現量が増加すると発現が誘導され、リソソームに移行してpre-BCRを分解するという、pre-BCRの自発的な発現調節に関与する重要な分子であることがわかった。
|