I型インターフェロン(IFN)の一つであるIFN-β(Ifnb1遺伝子がコードしている)はウイルス感染のみならず細菌感染時においても重要な役割を果たすことが知られているサイトカインであるが、in vivoで産生する細胞については判明していない。本年度はIfnb1gfpノックインマウスの作製とその基礎的な特性解析を行い、in vivoでのIFN産生細胞の同定を試みた。 定法に従い、Ifnb1遺伝子座にgfp遺伝子を導入することで、GFPの発現がIfnb1遺伝子のプロモータによって制御されるIfnb1gfp遺伝子座を持つマウス、Ifnb1gfpマウスを得た。 まず、Ifnb1gfpマウスにNDVを全身感染させて、ウイルス感染時のIFN-β産生細胞の同定に成功した。Ifna6gfpマウスと比較することで、NDVの全身感染においては同一の細胞群がIFN-αとIFN-βを産生することが示された。 次に、Listeria monocytogenesの全身感染をモデルとして、細菌感染時におけるIFN-β産生細胞を同定することに成功した。L.monocytogenesに応答してIFN-βを産生する細胞は、NDVの全身感染の場合と違い、Ly6Cを高発現する単球/マクロファージ(Ly6Chi MO)であることが判明した。また、Strepcoccus pneumoniaeの肺感染においてもLy6Chi MOによってIFN-β産生細胞であることが判明した。一細胞レベルでのin vivoでの同定は報告がなく、これらの新規の結果は第39回日本免疫学学術集会にて報告した。 現在はIfnb1gfpマウスと種々のシグナル伝達分子のノックアウトマウスとの交配を進めており、IFN-β産生におけるシグナル伝達経路のin vivoでの役割を解明する予定である。
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