IL-27は、2つのサブユニットタンパク質(EBI-3およびIL-27p28)から構成されるIL-12ファミリーサイトカインである。また、EBI-3とIL-12p35から成るIL-35が新たな抑制性サイトカインとして、近年同定された。それらの生理機能を解明することで、炎症やアレルギーなどの病態を緩和する新たな治療法を提案することができる。昨年度、我々は、遅延型過敏反応(DTH)モデル試験を行った結果、EBI-3欠損マウスで炎症病態が顕著に増悪することを見出し、IL-27がDTHにおける炎症抑制に働く重要なサイトカインであることの新たな証明を得た。 本年度は、別の炎症病態モデルであるトリパノソーマ原虫感染試験やコンカナバリンA誘導性肝炎モデル試験を行い、EBI-3欠損マウスで病態が悪化することを確認した。また、我々を含め多くの研究において、IL-27が炎症性サイトカインIL-17の産生抑制を介して抗炎症作用を発揮することが報告されている。そこで、トリパノソーマ感染におけるIL-7の未知の役割を明らかにするために、IL-17欠損マウスを用いた感染試験を行った。その結果、IL-17欠損マウスでは、トリパノソーマ感染防御に重要なIFN-γや免疫細胞応答が減退しており、原虫の蔓延を抑えることが出来ずに死亡率が上昇することが明らかとなった。この結果は、IL-17がトリパノソーマ感染に対する防御免疫系の構築において重要な役割を担うことを示す、新たな知見である。それと同時に、トリパノソーマに感染したIL-17欠損マウスでは、各種炎症性サイトカインの産生も低下していた。従って、IL-27による抑制機構が働かない状況においては、過剰な炎症応答が誘導されることが推察され、また、IL-27がIL-17の関与する炎症性疾患に対して治療効果を発揮する可能性が示された。
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