本研究において掲げた目標の中で、TRIM25の機能解析に関しては残念ながら特筆すべき成果が得られなかった。そこで、TRIM25以外のユビキチンリガーゼについての機能解析をあわせて行った。この結果、RIG-Iをユビキチン化することで一型インターフェロン産生を負に制御するRNF125のC末端領域に新たなる機能が存在することを見いだした。 RNF125はN末端領域にRINGフィンガードメインを有しており、RIG-IをK48を介してユビキチン化することでRIG-Iの活性を負に制御するコビキチンリガーゼである。興味深いことに、RNF125のRINGフィンガードメインを欠失した変異体では、RIG-Iの一型インターフェロン誘導能が逆に増強していた。この変異体は、ユビキチンリガーゼ活性を有するRINGフィンガードメインを欠失しているにもかかわらず、RIG-Iをユビキチン化した。更に、RNF125のC末端領域によるRIG-Iのユビキチン化は、現在機能がよく知られているK48、K63以外のリジン残基を介していた。これらの結果から、RNF125のC末端領域は、未同定のユビキチンリガーゼをRIG-I近傍にリクルートし、その結果としてRIG-Iがユビキチン化され、一型インターフェロン産生を増強しているものと考えられた。今後は、この未同定のユビキチンリガーゼを同定することで、ユビキチンリガーゼによる自然免疫応答の新たな制御機構が明らかとなることが期待される。
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