NF-κBファミリーの転写因子はp50NF-κB1、p52NF-κB2、RelA、c-RelそしてRelBの5種類の分子で構成され、古典的経路および非古典的経路によって活性化される。古典的経路においては主にp50/RelA、p50/c-Relからなるヘテロダイマーが、非古典的経路ではp52/RelBからなるヘテロダイマーが活性化される。Bリンパ球の発生とその生存維持には両方の経路が必須であることが遺伝子改変マウスを用いた研究によって証明されている。しかしこの二つの経路それぞれに特異的な機能やこの2つの経路の関係に関しては不明な点が多い。そこでこの2つのNF-κB経路の関係について調べるために、昨年度作製したBリンパ球特異的にp52NF-κB2を発現するトランスジェニックマウスを古典的経路の活性化に必須の分子NEMOを欠損マウスと交配することで、非古典的経路がどの程度古典的経路の機能を代替え可能かについて検討を行った。その結果、p52NF-κB2の発現によってNEMOを欠損するB2細胞およびMZ B細胞の発生生存は回復が認められるがNEMOを欠損するB1細胞の回復は認められなかった。この結果から、B2細胞およびMZ B細胞においては古典的経路と非古典的経路は共通の標的遺伝子を制御することによってその分化や生存をコントロールしているが、B1細胞の発生、生存においては古典的経路特有の標的分子が存在することが示唆された。
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