研究課題
本研究の目的の1つとしてM細胞から免疫細胞への抗原受け渡し機構の解析がある。すでにM細胞に高発現するケモカインとしてCCL9が同定されているため、受容体であるCCR1の解析を行ったところ、CCR1陽性細胞はバイエル板上皮(FAE)間と上皮下(SED)領域に存在していることが免疫組織染色とin situ hybridizationによって明かになった。さらにCCL9受容体のFACS解析を行ったところB220+, CD11c+細胞、CD11b+、CD11b+細胞においてCCR1の発現が確認できた。このうちB220+、CD11+陽性細胞がM細胞に近接して存在していることを免疫組織染色によって明らかにした。さらにCCR1を発現しているB220+, CD11c+細胞群には形質様樹状細胞pDCが含まれていることを明らかにした。pDCはI型インターフェロンを産生する細胞で抗ウィルス作用を持つとされる細胞である。M細胞からはインフルエンザ、HIVをはじめとするウィルスの侵入が報告されており、M細胞とpDCの相互作用の解析はウィルス感染時における免疫応答の解明につながるものであると考える。また、M細胞における抗原取り込み機構に関しては、M細胞を含むFAEシートの染色方法の開発を行い、従来のバイエル板ホールマント免疫染色法と比較して高解像度の観察が行えるようになった。今後この方法によってM細胞内の抗原分子の動態と、免疫細胞の相互作用の詳細を明らかにしていく。
すべて 2009
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