免疫応答のバランス制御の破綻は様々な免疫疾患に直結する。その制御に重要な役割を果たすのがSuppressor of cytokine signaling:SOCSである。本研究はこのSOCSをDNAワクチンとして用い遺伝子免疫療法の可能性をマウスの腸炎モデルを用いて検討した。また、本研究では免疫反応の誘導が困難な粘膜における効率の良い粘膜免疫誘導をE型肝炎ウイルス(HEV)のウイルス様中空粒子(VLP)を経口投与のベクターとしてSOCS-DNAワクチン投与を行い、DNAワクチンの経口投与による新規治療法の確立を目指した。その結果、SOCS3-DNAワクチンを投与することで、大腸炎の症状の緩和が認められた。またDSS大腸炎モデルにおいてはHEV-VLPにSOCS3 DNAを封入した経口ワクチンを使用することで、DNAワクチンを全身投与するよりも効率的な治療ができる可能性が示唆された。今後はSOCS3による大腸炎治療効果のさらに詳細を検討し、疾患治療や遺伝子治療の更なる可能性を検討していく。
|