研究課題
本研究予算で研究開発に取り組んでいる自動点字翻訳プログラムのeBrailleには、新聞記事と比較して病名や薬剤名などを含む医療関連の文書での点訳精度が低下する問題を有している。そこで、医療文書の点訳精度の向上を目的に、eBrailleが使用する辞書の調査、およびeBrailleに組み込み可能な新辞書の研究開発を行った。これらはいずれも研究に、自然言語処理技術を応用した。具体的には、(1)自動点訳プログラムで使用する辞書の統合、(2)プログラム開発用コーパスの作成、(3)統計的学習モデルの作成、を実施した。辞書は、医療用語8170語と東洋医学用語17290語を追加して統合した。その際、医療用には医療用語のみ追加、東洋医学文献用には東洋医学用語のみ追加、更には比較検証用として両用語を全て追加したものも作成した。プログラム開発用コーパスは、今年度は1115文分を追加で完成させた。これを用いて点訳精度を解析したところ、eBrailleの点訳精度が最も高いことが示された。また、648文からなる統計的学習モデルの学習コーパスを作成し、分かち書き精度解析の予備実験を行なった。その結果、統計的学習モデルでは仮名2文字(2モーラ)で区切る複合名詞の分かち書き精度が高いことが示唆された。なお特筆すべきこととして、eBrailleは財団法人日本産業デザイン振興会が主催しているグッドデザイン賞(平成22年度)を受賞した。前年度には、兵庫グッドデザイン「ユニバーサルデザイン賞」に選ばれており、二年連続で大きな賞を受賞したことになる。
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Internet Research
巻: VOL.20, NO.5 ページ: 582-592
信学技報(電子情報通信学会技術研究報告)
巻: 第109巻・第467号 ページ: 5-8
http://ebraille.med.kobe-u.ac.jp/