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2010 年度 実績報告書

なぜ医師はバーンアウトするのか~医師のメンタルヘルスシステム構築に向けて

研究課題

研究課題/領域番号 21790502
研究機関一橋大学

研究代表者

山上 実紀  一橋大学, 大学院・社会学研究科, その他の補助員 (40468103)

キーワード感情労働 / バーンアウト / コミュニケーション / メンタルヘルス / ストレス / 医師患者関係 / 質的研究
研究概要

近年日本の医療現場で、医師たちのバーンアウトが問題となっている。本研究は、医師のバーンアウトと感情労働の関係を明らかにすることを目的とした。バーンアウトの中核症状である情緒的消耗を具体的に記述・分析するために感情労働という概念を用いて、医師のなかでも特に総合診療医を対象として職務内容を分析することを試みた。研究の趣旨を説明し同意が得られた総合診療医17名を対象としたインタビュー調査を行った。インタビューのテーマは、「診療中に抱いた感情はどんなものがあるか」、「仕事でストレスに感じるのはどんなことか」、「今までの経験で後悔した体験について」、「診療中の感情をどのように扱っているか」「自分の職務中の感情の経年的な変化」であった。これらのデータをグラウンデットセオリーアプローチを参考にしながら質的に分析した。
結果として、医師が診療中に抱く感情体験は一般診療、救急医療、見取りという3つの場面で大きく異なっていることが明らかとなった。また、そのような感情体験の中で、新人の医師たちは「冷静さ」という感情規則を保つために、"患者との距離化"、"自らの感情の抑圧"という2つの方法を用いて自らの感情を管理していた。この2つの管理方法は公に教わるものではなく、専門職としての役割意識や、職場の構造に影響を受けながら新人医師たちが職務を通じて学習しているものであった。この分析結果から、医師にとっての困難な感情体験(本研究から明らかになったのは、苦悩する患者とのコミュニケーション、医療行為に対する責任を取らなければならないこと、人の死に向き合うこと、など)を乗り越えるために、医師にとって感情管理は必要であることを示した。そして、そのような医師の感情労働を自他ともに肯定できるかどうかという状況要因が、医師のバーンアウトに関連していることを指摘した。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)

  • [雑誌論文] 公衆衛生的視点から緩和ケア・グリーフの臨床を考える2011

    • 著者名/発表者名
      岩本喜久子、山上実紀
    • 雑誌名

      公衆衛生

      巻: 75 ページ: 253-255

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 内科医が一時撤退した地域における患者・住民の医師・医療に対する思いの検討2010

    • 著者名/発表者名
      若林崇雄、宮田靖志、山上実紀, 他
    • 雑誌名

      日本プライマリケア連合学会誌

      巻: 33 ページ: 360-367

    • 査読あり

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公開日: 2012-07-19  

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