研究概要 |
東京都内の大学病院に勤務する診療放射線技師120名を対象にヒューマンエラーの経験に関する質問紙調査を実施し,90名から回答を得た。一般撮影および回診撮影についてエラー内容等について分析を行ったところ、両検査ともに「患者を間違って撮影したこと」が最も多かった。CT検査でも「患者を間違って撮影した」ことが、MRI検査では「磁性体を装着した患者を検査したこと」というエラーが最も多く発生していることがわかった。また、簡易的かつ実行可能なエラー防止対策をSPNにて評価したところ、一般撮影、回診撮影およびCT検査では「患者自身に氏名等を名乗ってもらう」ことや「指差呼称を実施」することが有効な防止策であるとわかった。また、MRI検査では「磁性体チェッカーの確実な実施」が最も有効的であるとわかった。 また、小児専門病院で収集したインシデント・アクシデントレポートの分析を行ったところ、放射線科で発生した4年間のエラー件数は17事例であった。今回、17事例すべてのエラーが技術的要因に分類された。最も多かったのが錯誤で8件(47.0%)みられた。次いで、違反5件(29.4%)、知識不足が4件(23.6%)であった。錯誤は、患児間違い(3件)、撮影部位間違い(2件)、撮影日間違い(2件)、撮影過多(1件)であった。違反は次の5件であった。看護師がポケットに金属類を入れたままMRI検査に入室(1件)、診療放射線技師が携帯電話に受けた撮影依頼コールを無視(ドライブモード設定で気づかなかった)(1件)、診療放射線技師が撮影したデータを誤って消去(1件)、看護師がMRI検査前に点滴シーネをMRI用に交換忘れ(2件)であった。知識不足の4件は、6か月児が撮影後座位から後方に倒れベッド柵に後頭部を打撲した、撮影に患児が胃チューブを自己抜去した、激しく抵抗する患児の頭部をバンド固定し立位で撮影後両頬が擦過傷となった、撮影中患児が痙攣発作を起こした、事例であった。
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