本研究は、顕在的・潜在的うつ病患者に対するセルフマネージメント教育にeラーニングを活用するための基礎的研究である。うつ病には症状として、活動意欲の減退があるため、自己学習であるeラーニングでの教育は難しい。そこで、うつ病患者利用者のログ解析やインタヴュー調査から、継続できるeラーニングの在り方・支援方法を検討することを目的とする。平成21年度は、うつ病患者およびその家族を対象としたeラーニングコンテンツの作成を行った。コンテンツは以下の4つのモジュールから成る。1つ目のモジュールは、うつ病とその治療法に対する一般的な解説とし、HTMLとFlashで作成した。2つ目のモジュールは、様々な尺度から利用者のうつ傾向を測定するチェックモジュールで、質問に答えていけば利用者のうつ傾向が判定できるもので、PHPで作成した。3つ目のモジュールは、認知療法を主体としたeラーニング教育モジュールで、認知療法の思考記録表を実際に記入していくことで認知療法を実践・学習していくものである。4つ目のモジュールは、利用者同士の交流を促進するソーシャルネットワークモジュールで、掲示版機能を利用し、利用者同士の繋がりを援助していくものである。これらのモジュールの大部分は、LMS (Learning Management System)であるMoodleの機能を利用し作成している。 22年度は、作成したコンテンツを実際のうつ病患者とその家族に利用してもらい、インタヴュー調査から利用可能性と改善点を明らかにしていくことを目指す。
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