本研究は、顕在的・潜在的うつ病患者に対するセルフマネージメント教育を、eラーニングを用いて行うための手法とその評価方法を開発することを目的とする。うつ病には症状として、活動意欲の減退があるため、自己学習であるeラーニングでの教育は難しい。そこで、研究の第一段階としてeラーニングの継続に必要なものを明らかとした。次に、研究結果を受けて継続性と分かりやすさを考慮したeラーニングコンテンツの作成を行なった。この時点で、うつ病罹患者にeラーニング実施および評価の協力依頼を行なったが、依頼を行なった10名いずれもが、最終までの継続は困難であった。よって、うつ病と診断されている患者に対してeラーニングを実施していくことは、現実的ではなく仮に実施できる者がいたとしても少数派であると判断した。そこで、対象者をうつ病罹患者ではなく、健常者もしくはうつ傾向にある者とし、コンテンツ内容を、認知行動療法を中心とした内容から、防衛機制の解説を加えた、より予防的な内容に修正した。eラーニングは、学習者の意欲がなければ継続が困難である。本研究の結果から、eラーニングの継続要因として、教育者および同じ学習者同士のコミュニケーション、特に教育者とのコミュニケーションが重要であることが明らかとなった。このことは、eラーニングの継続には、教育者の労力が大きく関わることを意味している。よって、eラーニングを健康教育に利用するためには、教育者の注力が必要であり、教育効果とコストとの、費用対効果を考えていかなければ、単純にeラーニングによる健康教育を推進していくのは難しいことが明らかとなった。コミュニケーションが学習継続の鍵であると考えるのであれば、一方向性が強いeラーニングよりも、Ustreamといったリアルタイム動画配信コミュニケーションシステムを利用した"オンライン授業"の方が、費用対効果が高いのではないかと考えられた。
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