本目的は医師-看護師、看護師-介護職の臨床判断の実態と連携状況を明らかにし、効率が良く質の高い保健医療ケアを提供するために、同じ業務を分担する各職種がどのように臨床判断を分担し協働すればよいかを明らかにすることである。21年度は米国NPにインタビューを実施し、NPの職域確立の現状と要因を示した。22年度は、国内で看護師と介護職に観察とインタビューを実施し、日本の看護師と介護職の臨床判断と協働の要因を示した。23年度は(1)質問紙による実態調査と(37病院と135部署、45特養)、(2)看護師対象のEラーニング教材の作成・効果評価を実施した。(1)特養と100床以上の病院計400施設を抽出し郵送にて回答を依頼した。病院の看護部長・医師・師長、特養の介護職・看護師別平均点は、5点満点中4点前後であり、職種間の協働に肯定的で今後の推進方策に取り組む姿勢にあった。特養と病院では特養が高く、介護職の役割と実践範囲が小さいことが影響すると考えられていたが、現状は良好であった。介護職・看護師双方の役割と実践範囲を向上すると良い。協働と安全風土・組織公正感との相関係数は0.4~0.6と中程度で、多様な要因が複合的に関連すると考えられた。(2)看護師30名に2時間のeラーニングと計3回の質問紙調査を依頼し6名の協力を得た。学習内容は、他職種協働、NPと医師の協働、上級実践職との協働、看護師-医師関係、アサーションであった。協働尺度の変化量は、共同参画-0.43、問題共有-0.75、尊重と助け合い-0.43と低下した。アサーションは自己表現、他者尊重、率直、信念-0.02~0.06と変化がなかった。協働の成果は、1最善のケアの効率8納得して退院、10患者家族の満足度が0.50~0.67向上し、5退院調整が適切6問題の解決7患者を多面的に捉えるが0.50~1.00低下した。対象者が6名であったため追加調査予定であり、協働尺度は部署の風土を問うものであったので、自己の行動を問う尺度に変更し再調査予定である。
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