研究概要 |
本研究では,平成20年度特定健診の受診状況をもとに3年間の前向きコホート調査を行い,レセプト情報を活用した医療費分析により特定健診・保健指導の評価を行うことを目的とした.対象は福岡県A市国保被保険者で,平成20年度の特定健診対象者である40~74歳の男女11,052名(男性5,305名,女性5,747名)。これらを,健診の受診状況,結果,および保健指導や受療に対する行動により,健診受診者(2542名)と未受診者(8510名),健診を受診し,要保健指導となって保健指導を受けた人(61名)と受けなかった人(19名),要医療と診断され受療した人(1296名)と受療しなかった人(110名)に分類し,医療費の変化を比較した.その結果,要医療で受療した群の19,20,21,22年度の入院外医療費は,それぞれ22,785円,25,343円,26,237円,26,114円であり,19年度に比べて20,21,22年度で有意に増加していた(p<0.001).要医療で受療しなかった群の19,20,21,22年度の入院外医療費は,それぞれ6,995円,4,388円,7,988円,11,900円であり,19年度に対して20年度では有意に減少(p<0.001)していたが,22年度で有意に増加していた(p<0.001).共分散分析により,20-22年度の入院外医療費の変化量は,要医療で受療しなかった群に比べて受療した群では5408.8(CI:-10074.6~-743.0)円有意(p<0.05)に低値であった.健診の結果要医療となったが受診せず放置していた人の方が,受診した人に比べて,健診3年後の入院外医療費の増加量は大きく,要医療と判定された場合には,放置せず早期に受診することが重要であると考えられる.
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