1.miRNAマイクロアレイおよび遺伝子発現マイクロアレイを用いgain of function(GOF)機構の候補遺伝子(RNA遺伝子/コーディング遺伝子)の抽出を試みた。まず、hotspot mutantの1つであるR175Hとコントロールとなる野生型p53を、p53欠失細胞株(Saos-2)で強制発現させ、miRNAマイクロアレイおよび遺伝子発現マイクロアレイを行った。このデータを基に階層的クラスター解析を行った結果、野生型p53と比較しR175Hで有意に発現亢進が認められるRNA遺伝子群が同定された。しかし、この群には数十種類のRNA遺伝子が含まれ、直接のターゲットとなる遺伝子はこれらのうち幾つ存在するのかは不明であり、さらなる絞り込み作業をいかに進めて行くかが最初の課題となった。特定の候補RNA遺伝子(data not shown)単一のknock downを試みたがアポトーシス誘導能の復活や細胞増殖抑制効果は確認されなかったことから、研究者は複数の候補RNA遺伝子がGOF機構に関与している可能性を考えた。また、1つのRNA遺伝子に対し標的となるコーディング遺伝子候補が複数存在するため、遺伝子発現マイクロアレイのデータと照合し特定の候補遺伝子(RNA遺伝子/コーディング遺伝子)を探り当てることは極めて複雑で困難な作業であることが明らかになった。今後、特定のアルゴリズムに基づいた絞り込み方法を試み、おそらく複数の遺伝子で構成されるであろうGOF機構の根幹となりうる遺伝子の特定を進めたいと考えている。 2.候補遺伝子(RNA遺伝子/コーディング遺伝子)に対する変異p53の転写活性化能を評価に関しては、上記理由にて未施行である。
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