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2009 年度 実績報告書

新規分子標的治療薬の体内動態とゲノム解析を基盤とした個別化癌薬物療法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 21790520
研究機関京都大学

研究代表者

福土 将秀  京都大学, 医学研究科, 助教 (60437233)

キーワード分子標的治療薬 / 薬物動態 / 副作用 / ゲノム情報 / 個別化投与設計
研究概要

エルロチニブやスニチニブなどの経口分子標的治療薬は、非小細胞肺がんや腎細胞がんに対して用いられているが、間質性肺疾患などの致死的な有害事象や血液毒性などの重篤な副作用が多いために、個々の患者に適した投与量の個別化が必要とされる。本研究では、経口分子標的治療薬の適正使用に関するデータの蓄積を目的に、透析症例を含めて、エルロチニブやスニチニブの血中濃度モニタリングを実施し、薬物動態特性並びに安全性を評価した。まず、3名の透析施行中の非小細胞肺がん患者におけるエルロチニブ血中濃度プロファイルを非透析患者と比較した結果、薬物蓄積性は認められず、非透析患者の血中濃度と同程度であることが初めて明らかとなった。さらに、透析患者において重篤な副作用は認められなかったことから、エルロチニブは透析施行時においても安全に使用できることが示唆された。次に我々は、スニチニブ服用後早期に重篤な副作用を発現した腎細胞がん患者を対象に、副作用発現の原因を究明する目的で、薬物動態・遺伝子多型解析を実施した。その結果、本症例は薬物排出ポンプであるABCG2/BCRP遺伝子変異(C421A)のホモ型であることが判明し、薬物曝露量(AUC)は野生型またはヘテロ型と比べて約2倍高いことが明らかとなった。さらに、ABCG2一過性発現HEK293細胞を用いて、スニチニブの輸送実験を行った結果、細胞内蓄積量はコントロール細胞と比較して有意に減少し、また細胞内から有意に高いスニチニブの排出が確認された。以上の結果から、スニチニブはABCG2の基質であることが示され、機能消失と関連するABCG2 C421A変異をホモで保有する場合、スニチニブの吸収が増大し、重篤な副作用が発現することが示唆された。
研究計画初年度では、経口分子標的抗がん薬の体内動態及び副作用関連因子に関する有用な情報を得ることができた。次年度以降、実施計画を進め研究目標の早期達成を目指す。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2010 2009 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] ABCG2 421C>A polymorphism and high exposure of sunitinib in a patient with renal cell carcinoma2010

    • 著者名/発表者名
      Mizuno, T.
    • 雑誌名

      Ann.Oncol. (in press)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Pharmacokinetics of erlotinib and its active metabolite OSI-420 in patients with non-small cell lung cancer and chronic renal failure who are undergoing hemodialysis2010

    • 著者名/発表者名
      Togashi, Y.
    • 雑誌名

      J.Thorac.Oncol. (in press)

    • 査読あり
  • [学会発表] ABCG2遺伝子多型に関連したスニチニブの曝露量増加と毒性発現が認められた一症例2010

    • 著者名/発表者名
      水野知行
    • 学会等名
      日本薬学会第130年会
    • 発表場所
      岡山市
    • 年月日
      2010-03-28
  • [学会発表] Comprehensive analysis for the expression of drug transporters in hepatocellular carcinoma2009

    • 著者名/発表者名
      Higuchi, K.
    • 学会等名
      24th JSSX Annual Meeting
    • 発表場所
      Kyoto, Japan
    • 年月日
      2009-11-28
  • [備考]

    • URL

      http://www.kuhp.kyoto-u.ac.jp/%7Eyakuzai/main.htm

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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