1.PS2機能性ドメイン検索 Parasporin-2と類似の立体構造をもつεToxinにおいて、細胞認識にαHelix関与することが示されている。Parasporin-2においても同様の部位に細胞認識ドメインがあると考えαHelixを欠除する変異体の作成および、大腸菌を用いて発現精製した。しかし、この変異体によるParasporin-2の細胞認識には変化が認められなかった。このことは、他の部位に認識に関わる部位が存在していることを示唆している。本年度、Parasporin-2全長におけるN末端およびC末端からの複数種類の欠失体の作成を試みた。Parasporin-2は、高い自己凝集性があるため、可溶化しやすいと考えられる。GST融合タンパク質として大腸菌に発現させ回収を行った。しかし、精製の過程での蛋白の損失が著しく必要な量の欠失体を得ることができなかった。この過程において、Parasperin-2のもつ低温条件下でみられる凝集性増加が欠失体でも観察されており複数のカラムを通過する際に、自己凝集を起こし、カラム内に残存したために回収できなかったと考えられる。そこで、標識タグを分子量の小さいHisに変更し、HisタグとのFusionProteinとして発現回収し、その機能性評価を行おうと試みている。現在、全ての欠失体のプラスミドへの組み込みが終了し大腸菌に発現させ欠失体の精製を行っている。 2.マウス生体内におけるParasporin-2細胞認識性の確認 前年度において、Alexa488をParasporin-2へ標識し癌細胞皮下移植マウスへの静脈内投与により高い癌細胞への集積性が維持されていることが確認された。今後、これらを、皮下移植による坦癌組織ではなくより病態に近い、肺癌組織の肺内投与あるいは、転移病巣への集積性を確認する為の準備を進めているところである。具体的には、移植細胞にRFPを安定に発現させ癌細胞の標識を行う。現在、これらの細胞株の樹立の準備を進めている。また、体内の深部組織にParasporin-2を作用させるため、マクロ観察時により深い位置での蛍光が観察できるAlexa680によるParasporin-2の標識を行っている。
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