研究概要 |
血栓性疾患患者検体に対する薬効判定や薬剤不応症症例の検出,消化管内視鏡症例など抗血小板剤を投与されている症例における休薬時の薬効の変化に対して,血小板機能と抗血小板剤の薬効評価,出血性副作用が示唆できるか2種類のカラムを用い,検査法の有用性を検討した.凝集能の測定結果に関しては,個人によって大きく異なることが明らかとなり,基準値を設定した上での測定値が正常範囲内もしくは異常値であると判定を行うことは困難であった.薬効の変化に関する血小板凝集能の変化では,薬物動態などの個人差があるが服薬による測定値の変化は認められる傾向があった.ただし,この検討に関しても測定値のばらつきなどがあり,はっきりと測定結果が有用であるか判断するには症例数を重ねる必要があると思われた.この方法に加え,全血をフィルターに通して測定する吸引法(SFP法)を比較検討方法として加えた.この方法でも,全血では血小板以外にも血球成分などが検体の取り扱いに与える影響が大きいと考えられ,測定結果に大きく変動が認められることから,非特異反応を示す可能性が示唆された.これら検査の実施に関して,全血を用いて操作が簡便となる点においては有用性が認められるものの,その結果の解釈に関しては判定が難しい面もあり,今後も引き続き検討が行われる必要があると思われた.
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