【1.AAアミロイドーシスに関する研究】 AAアミロイドーシス惹起マウスモデルを用いて、血漿中に遊離した形態でアミロイド促進因子であるamvloid enhancing factor (AEF)が存在することをはじめて確認した。さらに、細胞外分泌膜小胞であるエクソゾームが血漿中に遊離したAEFを運搬する役割を担っていることも明らかにした。本結果は、全身性アミロイドーシスにおける臓器間の伝搬機構の解明に重要な知見であると考えられた。しかし、ヒトAAアミロイドーシス患者さんの血漿中には、マウスに対するAEF効果が確認できなかった。ヒトとマウスという異なった種間での実験によるため、確認できなかった可能性がある。 【2.TTRアミロイドーシスに関する研究】 各種霊長類の病理組織を用いて、アミロイド沈着の有無を検証し、アフリカミドリザルにのみTTRアミロイドーシスが確認された。本サル種のTTRアミノ酸配列は、他のサル種とは一部異たることが判明した。また、カニクイザルと比較するとTTRの血中濃度や四量体安定性が低下していた。特異的なTTR配列がアミロイド形成に重要な役割を果たしている可能性がある。本動物種は貴重なTTRアミロイドーシス疾患モデルであると考えられた。また、霊長類内のTTR配列の多様性と病気を生じるヒトTTR変異の報告部位とに関連性が観察された。
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