本研究は、核内受容体CAR(NR1I3)遺伝子多型と様々な疾患との関連を、約1500症例の日本人高齢者連続剖検例においてフェノームスキャン解析した研究である。11種類のhCAR遺伝子多型と臨床診断および病理診断における悪性腫瘍や代謝性疾患、循環器系疾患等のフェノームスキャン解析から、rs2501873多型は肺癌と、rs2307424(P180P)多型は造血器系悪性腫瘍、高脂血症、血清HDLコレステロール値と、そしてrs6686001多型は動脈瘤と統計学的に有意な関連を示すことを見出した。本研究で得られた新規の遺伝子-疾患関連は、その一部が分子生物学的手法により既に得られている研究データと一致していることから、CARを分子標本とする病態の予防や治療法の新規開発に有効な疫学的エビデンスとしての貢献が期待できる。
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