研究課題
有機リン系殺虫剤(OPs)曝露レベルの評価には血液中のコリンェステラーゼ(ChE)活性を指標とすることが多い。しかし、OPs曝露に対する感度が低いため、新たなOPs曝露バイオマーカーの確立が必要である。血中ローグルクロニダーゼ(BG)活性はOPs曝露により上昇するという報告があることから、本研究ではOPs曝露指標としての血中BG活性測定の有用性を明らかにすることを目的として検討を行った。殺虫剤散布職域従事者42名(曝露群)および他の職域集団22名(コントロール群)を対象とした。前者のうち、調査当日前3日間にOPsを散布した群21名(OPs高曝露群)と散布していない群21名(OPs低曝露群)に分けた。対象者の血清中ChE活性、血漿中BG活性および尿中OPs代謝産物であるジアルキルリン酸類(DAPs)を既報に従って測定し、年齢を共変量とした共分散分析および傾向検定にて比較検討した。その結果、血清ChE活性は3群間で有意な差が認められなかった。尿中DAPsはコントロール群<OPs低曝露群<OPs高曝露群の順に高値を示し(p for difference <0.001, p for trend <0.001)、血漿BG活性も同様の傾向を示した(p for difference <0.038, p for trend <0.026)。3群間において血漿BG活性は、尿中OPs代謝物量に類似した傾向を示したことから、本研究で対象とした集団における血漿BG活性は血漿ChE活性値に比べてOPs曝露量を正確かつ簡便に評価できる生化学的マーカーである可能性が示唆された。
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