研究課題
東南アジアでは、熱帯地域に属する気候とその衛生状態から、依然として腸管感染症の発生が多くみられる。また、東南アジアはその環境条件から、食料生産性が高く、生産された食料は日本をはじめとした多くの先進国に輸出されており、世界的な食料の供給拠点となっている。国際的な食料の移動に伴い、さまざまな食品の安全性基準の整備が求められている。魚介類の微生物汚染に関する安全性基準を示すために、魚介類由来の感染症である腸炎ビブリオ感染症に着目し、魚介類を汚染している腸炎ビブリオ病原性菌株の汚染実態および迅速な検出法の確立に向け研究を実施した。本年度は、前年度に開発および改良した腸炎ビブリオの病原性菌株を標的とした検出法であるTRC(transcription-reverse transcription concerted)法の応用を目指した。本方法における検出感度として、病原性菌株が100菌数程度で検出できることが確認できた。実際にフィールで魚介類の汚染検査に応用するために、東南アジア地域での魚介類汚染の実態調査を実施した。東南アジアのタイ、ベトナム、インドネシア、マレーシアにおいて、一般的に現地で消費されている魚介類の汚染調査を実施したところ、各国で魚介類への腸炎ビブリオ病原性菌株による汚染が確認された。現地のフィールドにおいて、適切な魚介類サンプルの入手、サンプルの処理方法や増菌培養法の利用による検出感度の向上のための操作など、応用に向けての準備を実施した。本法では、RNAサンプルを試料としているため、現地でのその実施方法や測定に使用するための試料の保管など、設備的な面での改善点が多くみつかった。現状では、東南アジアのフィールドでの実施において、多くの問題点があるといわざるを得ないが、一方で、実際に利用することは、問題点を改善した上で、可能であるということが考えられた。
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International Food Research Journal
巻: 18 ページ: 673-679
Journal of Microbiological Biotechnology
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