研究課題
食品成分による癌予防を実現するためには、単一成分の大量投与によるリスクを避ける意味でも、特に複数成分の併用効果の高い組み合わせを見出し、そのメカニズムを解明することはとても重要と考えられる。本研究は、既に高い癌予防効果が認められており、細胞内で多様な経路に働くといわれているアブラナ科植物の成分、インドール-3-カルビノール(I3C)を軸に据え、これと併用すると相乗効果が期待できる食品成分を探索し、併用効果の生じる分子機構を解明し、科学的根拠のある、食品成分同士による癌の「分子標的併用予防法」確立を目指すものである。既に大豆由来ゲニステインとの併用効果について報告しているが、今年度は、蜂蜜やプロポリス等に多く含まれるフラボノールの一種、ガランギンとI3Cを併用した場合に生じるアポトーシス増強について、その分子メカニズムについて研究した。併用時に細胞内に活性酸素種(Reactive oxygen species : ROS)が蓄積されること、ROSスカベンジャーを用いた解析によりROS依存的なアポトーシスであることが判明した。このとき、転写因子CREBの発現が減少し、その標的であるBc1-2の発現が減少すること、それに伴い、カスパーゼ9の活性化等、ミトコンドリア依存的な内在性経路の活性化が関与していると考えられた。この他にも、I3Cと併用して増殖抑制効果が見出された食品成分として、カプサイシンやケルセチンを見出した。また、アブラナ科植物の別の有効成分として、ブラシニンの細胞増殖抑制効果についても検討を行った。ブラシニンは単独で細胞周期停止を誘導したが、今後ブラシニンと併用して効果のある成分についても探索し、分子機構を解析していく予定である。
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http://www.f.kpu-m.ac.jp/k/pubmed/