本研究は、血中の内皮由来マイクロパーティクル(EMP)をフローサイトメーター(FCM)を用いて計測し、flow mediated dilatation (FMD)の所見と比較することで、内皮機能の評価としてEMP測定を用いることが出来るか検証するものである。研究は主に下記に沿って同時並行で進めている。 1) EMPの測定にあたり、新しいFCMを導入し、読み取り精度の向上を得られた。EMPを確実に測定するため、抗体の組み合わせや遠沈処理の方法など、数十種類の方法を試みた。最終的に、抗体はCD31-PEおよびCD41-PC5を選択した。測定値の安定性を向上させるため、検体をローダーオプションにセットし、自動測定可能なシステムを構築した。また、培養内皮細胞(HUVEC)を用いてポジティブコントロールとして使用する方法の有用性を検証中である。 2) FMD測定を簡便にするため、UNEX-EFを導入した。若年者を中心にFMD検査を行い、検査の経験を積み、測定値の信頼性を高める。 3) 本学の学生を中心に被験者を募り、4群(喫煙継続群・禁煙群・ビタミンC内服群・非喫煙群)に分けての採血・検尿を行い、EMPを含む検体の測定が進行中である。現在、目標80症例中、56症例が確保出来ている。 被験者からの検体採取は順調であるが、FCMを用いたEMP計測時の計測値のブレを最小限にする目的で、現時点で検体をFCMにかけていない。今後、全症例の検体が集まった段階で最も信頼性の高い方法で一気に計測を開始し、分析にかける予定である。
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