国立がんセンターがん予防・検診研究センターで行っているがん検診を2004年2月から2008年1月に受診した男性で、質問票に回答した40歳以上70歳未満(調査開始時年齢)の4767人を対象とし、検診受診時に回答した質問票とPSA値を用いて断面研究を行った。その結果、PSAの血清中濃度の中央値(ng/ml)は、0.97であった。PSA値が4.0ng/ml以上の男性は、273人(5.7%)であった。 今後は、この測定値をもとに、1)検診項目から得られるBMIと、質問票から得られる生活習慣・食事要因と、PSA値の関連を検討。2)2008年2月から2009年1月までの再受診者約1500人を対象に、ベースラインから5年間の体格や生活習慣・食事要因の変化と、PSA値の関連を検討、を行う。この研究は、体格や生活習慣・食事要因とPSA値との関連を明らかにすることで、前立腺がんの診断や前立腺生検の際に考慮しているPSA値の日本人の基礎的資料となりうる。また、5年間の体格・生活習慣・食事の変化とPSAの関連を検討することで、年齢によって自然に上昇するPSA値を低値に保つことができる要因があれば、前立腺がん予防因子の発見につながる可能性がある。
|