研究概要 |
1.研究計画の概要 前立腺特異抗原Prostate-specific antigen(PSA)は、前立腺がんの検診や診断に広く用いられているが、その値は生検の実施を決定する際に重要な情報となるにも関わらず、個人の特性・生活習慣の影響を受けることが報告されている。健常な日本人における生活習慣とPSAとの関連を調べた研究はほとんどないが、PSAを低値に保つ生活習慣があれば、その要因は、前立腺がんの予防因子となるかもしれない。国立がん研究センターにおける検診を、2004年2月~2009年1月に受診し、質問票に回答した40~70歳の男性4722人を対象とし、年齢、BMI、体重、身長、内臓脂肪体積とPSA値について解析した。その結果、それぞれのSpearman順位相関(r)(p値)は、0.25(<0.0001),-0.07(<0.0001),-0.12(<0.0001),-0.11(<0.00001),-0.02(0.35)であった。大豆類、ゲニステイン、ダイゼイン摂取との相関は、0.009(0.53),0.003(0.84),0.001(0.93)であったが、BMI30以上の男性に限る(N=93)と、それぞれ、-0.26(0.01),-0.29(0.005),-0.30(0.004)と負の相関を認めた。また、2009年2月~2010年末までに再受診した1698人を対象に、5年後PSA値と、ベースラインのBMI、体重、身長との関連を解析した結果、それぞれの相関(r)(p値)は、-0.04(0.12),-0.07(0.002),-0.08(0.0007)であった。大豆類、ゲニステイン、ダイゼイン摂取との相関は、-0.01(0.72),-0.02(0.42),-0.02(0.39)であった。今後、縦断的な解析について、サンプル数を増やした再解析、層別解析等、さらなる解析が必要である。
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