研究課題
北海道内の労働者を対象として、職場の健康診断の際に調査を実施した。自記式調査票にて、基本的属性・日常生活(喫煙、飲酒、運動、睡眠時間、世帯収入、学歴、同居家族など)、労働環境(1週間の労働時間、1ヶ月間の休日日数、VDT作業時間、雇用形態、雇用期間など)、職業性ストレス、抑うつ症状、不眠を調査した。加えて、早期動脈硬化の指標である脈波伝播速度を測定した。調査への協力は、約5千名である。これまで世界の様々な地域における疫学調査において、男性に比べて女性が不眠の有病率が高いと報告されている。その機序として、1)生物学的要因、2)精神疾患の影響、3)社会学的要因などが考えられるが、まだはっきりした結論は得られていない。今回の調査でも男性(23.3%)に比べ女性(31.1%)で不眠有病率が高かったものの、労働環境や家庭要因などを考慮した結果、不眠の性差が消失した。この結果は、労働者における不眠の性差には労働環境や家庭要因などがかなり寄与していることが示唆している。睡眠時間と心疾患との関連に関しては、長時間および短時間睡眠が心疾患発症および死亡のリスクであるという報告がある。今回、睡眠時間と脈波伝播速度との関連を調査したが、7時間睡眠と比べて、9時間以上の睡眠で有意に脈波伝播速度が高くなっていた。しかしながら、5時間以下とは有意な関連はなかった。これらの結果は、長時間睡眠で早期の動脈硬化リスクが大きくなることを示唆している。
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Soc Psychiatry Psychiatr Epidemiol.
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