調査地区を、研究実施への同意の得られたラオス北部のPhongsaly provinceとした。この地区では、病院またはヘルス・センターまで徒歩2時間以内の村は全体の23%であり、それ以外の村では、短期間の訓練を受けたヘルス・ボランティアがdistrict hospitalと連携しプライマリヘルスケアを担当することとされていた。この制度の主要な課題は、現地担当者へのインタビューの結果、地理的なアクセスの改善とヘルス・ボランティアの報告技量向上による連携の推進であることが明らかとなった。 最新のMultiple Indicator Cluster Surveyのデータに基づいた調査地区の事前評価により、以下が明らかとなった。ラオス北部において、公用語であるラオ語を主に利用する世帯の割合は40%、15~49歳の女性で初等以上の教育を受けた割合は61%であり、これらの指標及び世帯の豊かさ指標(wealth index)の値は、都市、幹線道路を有する地方、幹線道路の無い地方の順に低くなっていた。また、最近2週間に下痢の症状を有した子どものうち、oral rehydration therapyを受けた割合は50.3%、最近2週間に急性呼吸器感染症の症状を有した子どものうち、適切な医療施設で治療を受けた割合は29.7%であり、これらの値は、都市、幹線道路を有する地方、幹線道路の無い地方の順に低くなっていた。 小児保健医療サービス利用支援環境要因に関する質問項目を、現地保健医療専門家と共に検討した。その結果、以下の4項目が適切であると考えられた。1.医療機関への距離、道路の有無、交通機関の利用可能性、洪水等による道の遮断に関する項目、2.農作物取引による収入、貧困者への無償医療サービス給付の適用に関する項目、3.育児担当者の教育歴、健康知識、村のヘルス・ボランティアへの信頼感に関する項目、4.村の医薬品の管理状況、ヘルス・センターの営業体制に関する項目。
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