脂肪肝は異所性脂肪沈着のひとつであり、肥満と強く関連している。脂肪肝の形成には脂質代謝異常が関連し、メタボリックシンドロームも関連する。また、高度の肥満による非アルコール性脂肪肝(NAFLD)は、有病者の一部において非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)となり、肝硬変や肝癌を起こすことが知られている。 また、LDL粒子サイズがより小さく粒子密度がより低いと動脈硬化に強く影響することが明らかになっているが、脂肪肝がこうしたLDL粒子サイズ・密度にどのような影響を与え、動脈硬化の進展と経時的にどのように関連するかは未だ明らかではない。 我々は2002~2006年に40歳代男性を対象として潜在的動脈硬化進展度についての日米比較調査を行った。この調査では、CT検査を行ったため、そこに含まれる肝臓の画像よりCT値を調べ、客観的に脂肪肝を評価することが可能である。また、NMR(Nuclear Magnetic Resonance;核磁気共鳴)による脂質プロファイル分析を行っており、従来のLDLコレステロール濃度・HDLコレステロール濃度等の血清脂質分画に加え、平均LDL粒子サイズ、小粒子LDL数等を明らかにすることができる。 2008年~2009年に同じ集団に対し、他の研究費によって約7年後の追跡調査を行った。 本研究の目的は、この追跡調査に付随する研究として、NMRによる脂質プロファイル分析及び、肝臓のCT画像よりCT値を調べ、脂肪肝を評価することで、中年期男性の脂肪肝およびリポ蛋白粒子サイズの長期変化およびこれらの潜在的動脈硬化との関連を明らかにすることである。 平成21年度には本申請の基盤となる追跡調査が終了した。そこで、研究計画通り、肝臓CT値測定の準備および測定を開始した。結果解析用の特殊なソフトウエアを入手し、また、将来の国際比較を可能にするため、渡米し、計測方法の打ち合わせ・および情報収集を行った。現在、漸次、計測を開始している。
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