研究概要 |
1999年1月から2010年12月の日本の月別自殺者数、各気象庁地磁気観測所の月毎K指数値、自殺に関係していると考えられる月毎の失業率、月毎の黒点数、気象データ、高齢化率のデータを用い、目的変数を月毎の自殺者数、説明変数を月毎のK指数平均値、月毎の失業率(%)、月毎の黒点数、月平均気温(℃)、月平均湿度(%)、月平均気圧(hPa)、月平均日照時間(h)、高齢化率(%)として男女別に重回帰分析を行った。男性では、月毎のK指数平均値と月毎の自殺者数に統計学的に有意な相関がみられたが、女性ではみられなかった。これは、地磁気の擾乱と自殺者数との相関を示す、我が国において最初の報告である。 磁気の擾乱が自殺に影響を与えるのであれば、地磁気の強い場所ほど、地磁気の変動も大きいため、自殺者数が増える可能性が考えられる。そこで、目的変数を都道府県別の月毎の自殺による標準化死亡比、説明変数を各都道府県の地磁気の強さ (nT)、北緯 (°)、 月平均失業率(%)、月平均気圧(hPa)、 月平均気温(℃)、 月平均湿度(%)、月平均日照時間(h) として男女別に重回帰分析を行った。男性では、都道府県別の自殺による標準化死亡比と各都道府県の地磁気の強さ、月平均失業率、月平均湿度に、女性では緯度に統計学的に有意な相関が見られた。本解析でも男性の自殺が地磁気と関連していた。 地磁気の測定にはフラックスゲート磁力計(Bartington, Mag-03MS70)、ホール素子による磁力計(HONEYWELL, HMR2300)、MIセンサを一緒に配置し、各センサのデータを比較した。いずれの磁気センサの値の変動にも相関がみられるため、ホール素子による磁力計(HONEYWELL, HMR2300)を秋田に設置した。秋田、京都、神岡で測定した地磁気データを気象庁地磁気観測所(柿岡、女満別、鹿屋)のデータと比較した。
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